商品説明
ES14N Concept
EPOSの再始動は、最も有名なモデルであるES14のリファインから始まりました。これはブックシェルフとしては大きいクラシックな外観をもつ2ウェイ・スピーカーで、専用スタンドを使用するモデルでした。このコンセプトは新しいES14Nに引き継がれています。ES14を分析するとロビン・マーシャル独自の設計がそこにはありました。ウーハーのサイズは6.5インチと呼ぶには大きすぎ、8インチと言うには小さいどの規格にも当てはまらない7インチだったのです。しかし、このサイズは新しいES14Nにも採用される事となりました。8インチに近い低域のドライブ感と6.5インチに近い中域の魅力的なサウンドを得る事ができたからです。
Speakers for music
オリジナルES14のイメージを崩す事なく、最新の測定と深い経験によって全方位にアップデートされたES14N。ホワイトペーパーには技術的な設計ポイントが詳細に記載されていますが、奏でられるサウンドには神経質な所は全くありません。リスナーは最初の1曲を聞き終えた時、音楽に没頭している事に気づくはずです。それはFINK teamのBORGやKIMにも感じられるカールハインツ・フィンク謹製のスピーカーに共通する美点。長時間大好きな音楽に酔いしれた後・・・ふいに素晴らしいスピーカーの存在を思い出す。そんなスピーカーこそ長い年月にわたって最高の相棒となってくれるのではないでしょうか。カールハインツ・フィンクのSNSには毎日のように音楽の話がアップされています。彼が真の音楽好きである事はこの事からも明らかであり、それは彼が設計するプロダクトにも滲み出ているのです。
ENCLOSURE
カールハインツ・フィンクが設計するスピーカーは常にエンクロージャー設計に細心の注意が払われます。新しいES14NのキャビネットはオリジナルES14とほぼ同じボリュームとなりました。キャビネット容量はドライバーの構成とスピーカー帯域の結果なので、優れたスピーカー同士であればこの結果に驚きはありません。しかし、キャビネットの形状は大きく違います。ウーハーとツィーターの時間軸を合わせ、さらに前後の定在波モードを助けるためにフロントバッフルは後方へと傾けられています。エンクロージャーは2層のMDF構造で、特許取得の最新世代ダンピング・グルーで2層を接着。パネルの振動モードを制御し、キャビネット全体の不要輻射を低減するために、ブレーシングが追加されています。内部にはわずかな制振材しか必要ありません。フロントにはメインキャビネットに接着・ネジ止めされる追加プレートがあり、2000-3000Hzの回析をコントールするため、古典的な方法ながら非常に有用な45°の面取りが施されました。
キャビネットは38Hzのチューニング周波数となっており、多くのリスニングルームのボトムエンドゲインにマッチし、高速かつ正確な低域再生を実現します。もちろん全ての設計はFINK AUDIO – CONSULTINGが誇る高性能なレーザー干渉計やFEA(有限要素解析)等の威力が遺憾なく発揮されています。バスレフポートは、空気の流れによるノイズが最小になるよう形状から緻密に設計され、ポートの共振を補正するために中央部に開口部が設けられました。開口部はソフトな素材で、ポートの不要な共振を完璧に抑制します。
一般的なスピーカーターミナルは無く、ケーブル接続のための端子はドイツ製4mmバナナソケットタイプで、内部の金属プレートにマウントされています。これはオリジナルES14のアイデアを踏襲したもので、ハイエンドなスピーカーターミナルを採用するよりもはるかにサウンド面で有利でした。もちろんバナナプラグは付属しており別途購入する必要はありません。
Crossover Network
オリジナルES14のクロスオーバーは部品点数が少なく極めてシンプルなものでした。新しいES14Nはドライバーにおける機械的なフィルタリングよりも電気部品の方が制御しやすいという20年以上の経験を踏襲しました。クリッペル測定が行われるより前に設計されたオリジナルウーハーの多層コイルは重量と巻線のハイインダクタンスでウーハーをロールオフさせるよう設計されていました。近年これは別の問題が引き起こす事が分かっているため、新しいES14Nのウーハーではコイルは2層のみで、追加された補正リングにより、激しいピストン動作に対してもインピーダンスは常に一定で、クロスオーバー変調を回避することができます。採用されたエアーコイルは歪みを発生させることはありません。また、ウーハーとアンプの間に小さな抵抗を入れる事で、ダンピングファクターの違いに影響されにくい設計にしています。様々なアンプで本領が発揮できるよう工夫されているのです。
ツィーターの共振周波数を抑えるためには、ギャップにFerrofluid(フェロフルイド/磁性流体)を使用しないことは重要です。フェロフルイドというと聞こえはいいですが、挙動が変化するオイルのようなもので、音量や音楽の種類によって音そのもののを変化させてしまいます。フェロフルイドを使用しないツィーターは、使用した標準的なツィーターと比較して、よりオープンかつ自然なことがわかります。そのかわり安全性を確保するためにクロスオーバーに工夫を必要としますが、適正に設計されたクロスオーバーを使用すれば確実によりリニアなサウンドが得られるのです。
また、スピーカーはできるだけアンプにとって大きな負荷をかけるべきではありません。それは自由に好みのアンプを選べなくなるからです。ES14Nの平均インピーダンスは一般的な4Ωスピーカーよりも高く、最低でも4.3Ωが保証されており、真空管アンプでも安心してドライブ可能です。
Original Tweeter
ツィーターはES14Nのために専用設計されたオリジナルです。28mmのサイズはツィーターの低域パフォーマンスを向上させ、7インチ・ウーハーとの自然な繋がりを実現しました。アルミニウム合金ドームをセラミックでコーティングし剛性を高めています。ファブリック・サラウンドと特殊形状のコントロールリングの採用により共振ピークは約30kHzとなり、聴覚の限界である20kHzから大きくシフト。マグネットにはフェライトマグネットが採用されました。フェライトは小型化が必要ない場合においてツィーターに最も適した素材です。背面に多くの空間を設ける事が可能で、小さいキャビティによる圧縮と歪みを避ける事が可能となるからです。フェライトマグネットにはさらにカッパー(銅)キャップを追加することで超高周波でのレベルを向上させました。
ウェーブガイドはあえて採用していません。減衰の激しすぎる部屋や超近距離での試聴には効果を発揮しますが、一般的な部屋、試聴距離においては音の開放感が損なわれ、むしろマイナスの方が大きいというのがその理由です。またツィーターの金属プレートは、バッフル面とのエネルギー伝達を低減するために、ネジ周りの4点のみがキャビネットに接触しています。これはnaim audioのロイ・ジョーンズのアイデアによるもので、彼の承認によってES14Nに採用されました。
Mid/Bass Driver
ES14Nのために新設計されたオリジナルのES14と同じ7インチのポリプロピレン・ドライバーです。
ポリプロピレンは大変優れた素材にもかかわらず、旧世代の素材というイメージを持っている方もいるかもしれません。しかしそれは間違っています。現在は30年前と違い様々なシミュレーションが行えるだけでなく、素材の厚みも箇所ごとに変更させる事が可能です。新しいドライバーは特殊な形状になるよう射出成型を行い、10%のマイカを混入させる事で理想的な剛性を実現しました。サラウンドは低ダンピングラバーで、ダストキャップは使用せずに金属製のフェーズプラグを採用。最高の軸外動作と美しいロールオフを実現しています。
image EPOS ES14N
36mmのボイスコイルは、非金属のTILフォーマー(TIL:グラスファイバー/エポキシレジン混合物)に18mm長の銅線を2層巻きにしたものです。マグネットの形状は、シミュレーションにより、コイルの移動に伴うインダクタンスの変動が非常に少なく、リニアな挙動を示すように最適化されました。20年にわたるクリッペル測定の経験により得られた、コーンの位置によってインピーダンスがもはや変化しないという事実により、インダクタンス変動による応答変調なしにクロスオーバーを使用することが可能になったのです。メインマグネットはフェライトでポールピースにネオジウムディスクを使用する事でよりリニアな動作を実現し、中心部の金属製のフェーズプラグはコイルの熱対策にも役立っています。すべてのパーツは、剛性と良好なダンピングを両立させるため、新設計の高剛性なガラス繊維強化樹脂製のバスケットに取り付けられました。
ES14N STAND
スタンドはスピーカーにとって非常に重要なのは言うまでもありません。支柱部は4層の木材を組み合わせており、ES14Nのキャビネットと同様に最新世代のダンピング・グルーで接着されています。トッププレートはビチューメン層を挟み込んだ2層のスチール・プレート、ボトムプレートはアジャスタブル・スパイクを固定可能な重厚スチール・プレートです。スタンドはスピーカー本体とボルト固定が可能なため落下の心配はありません。ES14Nのためだけに設計されたこのスタンドは、ES14Nの本来の実力を発揮させる必需品と言えるでしょう。